35歳は「肌の蓄え」の曲がり角――セラミドの“型”から考える、大人のバリア機能再設計

Ingredients & Science

「きちんと保湿しているはずなのに、夕方には乾く」
「去年まで問題なかったスキンケアが、急に物足りなく感じる」

こうした変化を感じやすくなるのが、35歳前後の肌です。
その背景には、水分量の低下だけでなく、肌のバリア機能を支える“脂質の質と量”の変化があります。中でも重要なのが、角質層の細胞間脂質の主成分である「セラミド」です。

本稿では、そんな「セラミド」に着目し、
年齢・肌状態・目的に応じた“セラミドの選び方を整理します。

加齢とともに減る「保持力」

私たちの肌の最も外側にある角質層では、細胞同士の隙間を埋める「細胞間脂質」が、水分の蒸発を防ぎ、外部刺激から肌を守っています。この細胞間脂質の約50%を占めるのがセラミドです。

しかし、この重要な成分は加齢とともに無情にも減少します。セラミドの量は30代から急激に減り始め、50代では20代の頃の約半分にまで落ち込むとも言われていますが、重要なのは絶対量より“質の低下と分布の乱れ”です。

つまり、
「水を与えても逃げてしまう」状態=バリアの保持構造が弱っている
これが、35歳以降に起きやすい乾燥の正体です。

セラミドは4種類 役割も得意分野も異なる

「セラミド配合」と一言で言っても、その中身は大きく異なります。
まずは代表的な4タイプを整理しましょう。

①ヒト型セラミド

人の角質層に存在するセラミドと近い構造を持つ成分。
角質層内でラメラ構造を形成しやすく、バリア機能の補強という点では最も再現性が高いとされています。

成分表示例: セラミドNP、セラミドAP、セラミドEOP、セラミドNGなど

②天然セラミド

馬などから抽出されるセラミド複合体。
複数種の脂質を含み、保湿感に厚みが出やすいのが特徴です。

成分表示例: セレブロシド

③植物セラミド

米や大豆などに含まれる糖脂質。
角質層のセラミド産生をサポートする“素材”として使われることが多く、即効性より穏やかさが強みです。

成分表示例: コメヌカスフィンゴ糖脂質、ユズ果実エキス(グルコシルセラミド含有)

④疑似セラミド

化学的に設計されたセラミド類似成分。
ラメラ構造を模した設計が可能で、コストと安定性に優れるため、日常使い製品に多く採用されています。

成分表示例: ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミドなど

35歳からは「ヒト型」を優先すべき?

35歳を過ぎた肌に必要なのは、一時的なしっとり感ではなく、低下したバリア機能の「立て直し」です。そのため、バリア機能の“再構築”を目的とするなら、ヒト型セラミドは有力な選択肢です。

ただ、肌が不安定な時期や皮脂の多さ、全身のケアをしたい場合には、植物由来や疑似セラミドの設計が合理的なケースもあります。

重要なのは、「年齢 × 肌状態 × 目的」この3点でセラミドの“型”を選ぶ視点です。

ヒト型セラミドは「種類の組み合わせ」で働く

ヒト型セラミドには複数の種類があり、それぞれ得意分野が異なります。成分表に複数の名称が並んでいるのは、それらがチームで肌を支えているからです。ヒト型セラミドの価値は、単体ではなく組み合わせにあります。

セラミドNP:水分保持・基本的な保湿構造
セラミドEOP:バリア強化・外的刺激への耐性
セラミドAP:角質の整列・なめらかさ
セラミドNG:柔軟性・高い抱水力

これらは役割分担で角質層を支えています。
成分表に複数のヒト型セラミドが並んでいる製品は、構造を意識した処方設計と考えてよいでしょう。

セラミドは「型」より「設計」で選ぶ

35歳からのスキンケアに必要なのは、
・どの型のセラミドが
・どの層をどう支え
・今の肌状態に合っているか
この設計を読み取る視点こそが、大人の肌を支えます。

「セラミド配合」という言葉に安心する段階を超え、
セラミドの“型”と“組み方”を見る
その一歩が、変化し続ける35歳以降の肌に、確かな安定感をもたらすはずです。

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