最近、花王が「RNA事業」に本格参入するというニュースが出ました。
・花王がRNA事業を本格実装 第1弾は「ソフィーナ」「ジアンサー」で始動
・「サヨナラ、自分を知らずに買う時代。」 花王のRNA技術を本格実装
(どちらもYahooニュースに飛びます)
……と言われても、
「RNAって何?」
「それが化粧品とどう関係あるの?」
と感じた人が多いのではないでしょうか。
実はこの話、将来の“美容の選び方”を変えるかもしれない動きなんです。
今回は「柔らか解説」と題して、できるだけ簡単に、そして順を追って解説します。
そもそもRNAって何?
まず一番の疑問から。
「DNA」なら皆さんわかるはず。
ほぼすべての生物の細胞内に存在し、体の作り方や働き方の情報を長期保存している生命の設計図
のこと。
では「RAN」は?と言うと、DNAによく似た物質で
DNAという設計図のうち、今使っている部分を書き出した“その瞬間のメモ”のような存在。
・ DNA=「設計図」
・ RNA=「今の状態メモ」
と簡単に言え
今この瞬間、体や肌がどういう状態かを示す情報が含まれた核酸の一種となります。
たとえば……
・寝不足が続いている
・ストレスが強い
・紫外線をたくさん浴びた
こういった影響を受けると、体の中のRNAの状態は変わります。
つまりRNAを見ると、「今のコンディション」がわかる可能性があるのです。
花王は何をしているの?
ここからが本題です。
冒頭で貼ったニュースの中身を簡単に紐解きましょう。
花王が強みとしているのは、「皮脂の中に含まれるRNAを解析する技術」です。
これを美容に応用し、実装しますというのがニュースでした。
「皮脂?」と思いますよね。
実は、顔の皮脂の中にもRNAが含まれています。
花王はそれを長年研究してきました。
あぶらとりフィルムのようなもので皮脂を採取し、
そこからRNAを読み取る。
すると……
・肌の炎症状態
・バリア機能の傾向
・体調変化の兆し
といった情報が見えてくる可能性があるのです。
ポイントは、血液検査のような大がかりな方法ではないこと。
“日常の延長線上”でデータが取れる。
ここが美容との相性が良い理由です。
なぜ今、花王がこれをやるの?
今の美容の選び方を考えてみてください。
口コミ、SNSの流行、対象の年齢層、「乾燥肌向け」などのざっくりとした分類……
多くは「感覚」に頼っています。
でも本当は、同じ30代でも、同じ乾燥肌でも、状態は人それぞれ違うはず。
花王がやろうとしているのは、
「なんとなく選ぶ」から
「今の自分の状態を見て選ぶ」へ変えること。
そのための土台として、RNAという情報を使おうとしているのです。
「コンソーシアム」って何?
さらに特徴的なのは、花王がこの技術を“自社だけの武器”にしていない点です。
美容オタクならお世話になっているであろう、アットコスメを運営する「アイスタイル」と、飲料大手メーカーでありサプリメント事業なども手掛ける「キリン」とともにRNA共創コンソーシアムを立ち上げました。
これはつまり、「この技術を業界全体の新しい基準にしたい」というメッセージでもあります。
将来、どう変わる可能性がある?
もしRNAが広く使われるようになれば、将来こんなことが起こるかもしれません。
たとえば……
・アプリで自分の肌状態をチェック
・その日の状態に合ったスキンケアを提案
・“なんとなく買う”回数が減る
・本当に必要なケアだけ選べる
美容業界全体も、
・商品開発がよりデータ重視に
・「エイジング世代向け」などの大ざっぱな区分が減る
・パーソナライズ市場の加速
といった方向へ進む可能性があります。
まだ遠い未来の話?
「RNAってまだ研究段階なのでは?」と思うかもしれませんが、花王はすでに実装を始めています。
・「ソフィーナ シンクプラス」
2026年1月にローンチされたスキンケアブランドで、専用アプリで肌を撮影すると、皮脂RNA研究をもとに開発されたAIが肌状態を分類。タイプに合わせた先行美容液を提案する仕組みです。
・「ジアンサー」
3月にサブスクリプション開始予定のヘアケアブランド。頭皮や髪の状態を解析し、最適なケアを提案する予定です。
つまりRNA技術は、遠い未来の話ではありません。
“今の自分の状態を見て選ぶ”という新しい美容の形が、すでに動き始めています。
ただ、美容業界全体で「RNAコスメ」が当たり前になるには、もう少し時間がかかりそうです。
解析基準の共有やデータの蓄積、他社への広がりなど、越えるべきハードルもまだ残っています。今は、花王が先行して走り始めた段階だと見るのが妥当でしょう。
難しそうだけど、実は“自分ごと”
RNAと聞くと、最先端医療の話のように感じます。
でも花王が目指しているのは、もっと生活に近いところ。
「今日の私の状態に、本当に合うものを選びたい」
そんな当たり前の願いを、科学で支えようとする試みです。
まだ始まったばかりの分野ですが、
数年後、「昔は勘で選んでたよね」と言う日が来るかもしれません。


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