【ナイアシンアミド徹底解説:後編】ナイアシンアミドは万能成分?――濃度と処方から考える、肌に合う選び方

Ingredients & Science

ナイアシンアミドは、「万能成分」と呼ばれることの多いスキンケア成分です。
保湿や肌荒れ防止、エイジングケアまで幅広く使われる一方で、「何に効くのか分かりにくい」「自分の肌には合わなかった」という声もあります。

本シリーズでは、ナイアシンアミドがなぜ万能に見えるのか、その背景を整理したうえで、実際に製品を選ぶ際の考え方を2回に分けて解説します。
前編では成分の特性と選ばれ続ける理由を、後編では濃度や処方の違いから、自分の肌に合う選び方を考えていきます。


ナイアシンアミドは、ここ数年で一気に存在感を高めたスキンケア成分です。
保湿、肌荒れ防止、キメのケアなど、さまざまな目的で配合されることが多く、「入っていれば安心」というイメージを持つ人も少なくありません。

一方で、「ピリつきを感じた」「期待していたほど合わなかった」という声があるのも事実です。
この差は、成分そのものの良し悪しというよりも、配合濃度や処方設計の違いによって生じているケースが多いと考えられます。

前編では、ナイアシンアミドが「万能成分」に見える背景を、成分特性や産業的な視点から整理しました。
後編ではもう一歩踏み込み、「実際に選ぶとき、どこを見ればいいのか」を具体的に考えていきます。

ナイアシンアミドはどんな成分?(おさらい)

ナイアシンアミドは、ビタミンB3の一種です。
化粧品・医薬部外品のどちらにも使われており、肌をすこやかに保つ目的で、バリア機能のサポートや乾燥・肌荒れを防ぐ設計に用いられてきました。

また、医薬部外品では、メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ有効成分としても知られています。
ただ、即効性を狙うタイプの成分ではなく、継続使用によって肌環境を整えていく「ベースケア型」の成分である点は、前編で触れた通りです。

濃度の違いで使用感は変わる

ナイアシンアミドは、配合濃度によって使用感や向いている肌状態が大きく変わります。

低濃度(目安:1〜2%前後)

日常的な保湿ケアや肌を整える目的で使われることが多く、比較的穏やかな設計です。
敏感肌の方や、季節の変わり目など肌がゆらぎやすい時期にも取り入れやすいゾーンといえるでしょう。

中濃度(目安:3〜5%前後)

肌のコンディションを底上げしたい人に向いたバランス型。
刺激感が出にくく、ナイアシンアミドの特性を活かしやすい濃度帯でもあります。

高濃度(目安:10%以上)

皮脂バランスや毛穴など、明確な目的を持って設計されている製品が多く見られます。
たとえば The Ordinary「ナイアシンアミド10% + Zinc 1%」のように、成分の存在感を感じやすい一方で、肌状態によっては刺激を感じる場合もあります。

重要なのは、「高濃度=優秀」と言う訳ではないこと。
肌の耐性や目的に合わなければ、かえって使いづらくなることもあります。

処方設計によっても印象は変わる

ナイアシンアミドは、水溶性で処方に組み込みやすい成分です。
そのため、どんな形(油分の多いクリームや水分の多い化粧水)で、どんな成分と一緒に使われているかによって、使い心地や役割が大きく変わります。

たとえば、
Paula’s Choiceの「10%ナイアシンアミドブースター」は、手持ちのスキンケアに少量ずつ加えて使える設計です。
使用量を自分で調整できるため、高濃度をいきなり顔全体に使うことに不安がある人にも選択肢になります。

一方、manyo(魔女工場)の「ガラク ナイアシン 3.0 エッセンス」は、ガラクトミセス培養液をベースにした処方。
ナイアシンアミドを主役として“効かせる”というより、スキンケア全体の土台を整える補助役として組み込まれています。
(特に私はこの「ガラク ナイアシン 3.0 エッセンス」を、リニューアル前から数年に渡り愛用しています。)

同じ成分名でも、狙っている役割は大きく異なるのです。

「合わない」と感じる理由は、成分だけではない

ナイアシンアミドが合わないと感じる背景には、
「バリア機能が低下しているタイミングで使用していた」
「レチノールやビタミンCなど、刺激を感じやすい成分と重ねていた」
「使用量や頻度が肌状態に合っていなかった」
といった要因が重なっていることも少なくありません。

「ナイアシンアミドが悪い」と結論づける前に、
いつ・どんな状態の肌に・どう使っていたかを振り返ってみるのも一つの手です。

私が以前「ナイアシンアミド、合わなくなったかも?」と思った時期があり、その背景には
「濃度の高い成分を使っていた」と言う原因がありました。

ナイアシンアミドと上手につき合うために

ナイアシンアミドは、すべての人にとって万能な成分ではありません。
しかし、目的に合った濃度と処方を選べば、日々のスキンケアに取り入れやすい、非常に応用範囲の広い成分でもあります。

前編で触れたように、ナイアシンアミドが「万能」に見えるのは、効かせ方の幅が広いからです。
後編である本記事では、その幅の中から自分に合う一点をどう選ぶかを考えてきました。

数字や評判に引きずられるのではなく、
「今の肌に、どの役割を求めたいのか」。
その視点を持つことが、ナイアシンアミドと上手につき合うための、いちばん現実的な近道と言えるでしょう。

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